[poetry] [education & research] [研究など]
白い乾いた犬三原麗珠 詩集 |
未来時制の砂漠が怒りのカーテンを食す都市
方法を潰したテーブルが地底からころがり落ち
私の負傷したドアの規則に関する鏡を
光もなく弾きはじめる
[詩の墓場ヘ]
人は生の困難な局面に直面したとき
温泉に浸かって割れた竹筒の
内側の曲面を流れる
直線的な素麺をすすり
上流の紳士あるいはおじさんと
緩やかな接続を求め
それを通り抜けてしまおうと
想像するのだが
指はいつも多様体の
表面への性向が高いので
黒髪を素麺と
誤認したと
口のなかに許す
隙間を与えてしまうのは
穏やかではないからと
しんみりと流さず
ひとり
素麺と直面しつつ
浸かっていようとする
割れた竹から
爽やかに現れた
かぐや姫が
僕を助けてくれる
だが違うのだ
現代社会におけるかぐや姫は
テロリズムの擬装戦術だから
長い黒髪で皮相的な微笑を微笑むが
指を接触した瞬間 温泉の
お湯は空間に拡散してもう
空なのだ
微小に分割した曲面は位相を失い
こなごなに空中を舞い
ちぎれた私の肉片と混じりあっている
そこにあったとしても
おだやかに浸かることなく
接続の強い形態として
溶けあうことなく 解決のように
爽やかに
世界と混じりあっている
円筒形のドームを抜けてきょう
女子大生は成人式? それとも
都会の芸者?
緑のゼリーは 緑の
ゼリーのような
味がするわ
もうすこし近くにねと
笑ってる猫
鋭い角度から
社会を視てるのね
はだかのスカートたちがゆらゆら
ぼくをとり囲む
逆光ではだかの
スカートたちの
影だけが
風に揺れている
旗たちだから
きょうは独立記念日
痛みの唇
夜の底を私は歩きつづける
夜のどこに底があるの?
星たちは今夜はおやすみ
きょうは闇もおやすみ
星のない夜 空が明るい
ぱさぱさに乾いていく私
あるいは 牛
乾燥の牛が
こちらを見つめている
意表を突く
牛はいつも左を向いている
ものだと思っていたわ
絡んだ髪から逃げだせない午後
なまぬるいさみしさが私の庭に流れつく
恋人のように
無口に
小舟にのって僕らは死んでいくのだね
中途半端な死に方を出来るのね
緑のゼリー
鋭い角度で社会を視る猫
はだかのスカートたち
出発だね みんな
都会の庭から
さみしい小舟に乗って
闇のないぱさぱさの夜空の底を
円筒形のドームを抜けて
長期米国滞在を終えるにあたり試験的に書かれた詩
カルデラ湖 I
カルデラ湖 II
詩
(美術館の自転車)
部屋ヌード
名簿
医者の洗面所
人魚の
見えていたパンティー/見えなかったパンティー
お正月
繰り、返す
(Thanksgiving の朝)
総括
(流れない水洗トイレは)
ある固定された点からの風景
うたた寝
再構築された音楽
追憶
はだかのスカートたち
猫の首
それヲ、それデ
愛と美のパラドックス (meta-poem)
正義の見方
無題 (9/4/94)
抜いた手を焼く作品
カ、ケ、ラ、
エロチカのための習作
もどっていくの
熱帯夜
(オレンジ色の風が)
綿菓子
墓碑銘
社会・選択・公理
解決
にゃぁお
序文
Variations on the themes of Turing and Blum
女屋
傾向的な夜
ケインズ
土曜日の Friday afternoon
誕生
ア・スナップショット
酒場で
返答 I
Reply I
ある種のひじょうに鑑賞の困難な映像に関する詩
火曜日の論理学
駄作 3/27/94
流れ
詩 3/15/94
経済分析
断片 (3/13/94)
これは試験
[poetry] [education & research] [研究など]