1. 概要
メカニズム・デザインは，選挙制度・契約・オークション・官僚組織の意思決定システム・公共財の供給方法，などを比較・設計することを目的とする，応用範囲の広い経済理論である(注を参照)．「どのようにメカニズム（契約や法制度などのルール）を定めれば，ひとびとの希望を尊重しつつ社会的に望ましい状態を達成できるか？」といった問題をあつかう．ひとびとは通常自分に不利になる情報を提供したがらないので，単に希望を聞くだけではダメである．
この授業では，公共プロジェクトやオークションなど多くの応用例を採り上げながら，メカニズム・デザインの理論を厳密かつ直観的に説明する．特に，他人がどういう選好を持っているかそれぞれの個人には確実には分からない状況である「不完備情報」のケースを採り上げ，ひとびとの行動が「支配戦略による均衡」または「ベイジアン・ナッシュ均衡」とよばれる均衡概念で記述できるばあいを重視する．メカニズム・デザインの解説に先立って，非協力ゲーム理論の主要概念を初歩からかなり高度なところまで一気に導入する．
注: たとえば地球産業文化研究所では，秘かに経済理論家や実験経済学者に呼びかけて，地球温暖化対策のための排出権取引国際「市場」の設計という恐るべき陰謀(と古風な環境主義者はいうかもしれない)を企てている．みなさんの先輩にも，この陰謀(?)に加担している世界的メカニズム・デザイナーがいる．
2. 講義要目
I. Basic Elements of Noncooperative Games (Chapter 7)
II. Simultaneous-Move Games (especially Sections 8.A, 8.B, 8.D, 8.E)
III. Incentives and Mechanism Design (Chapter 23)
3. 講義方法
講師はテキストと参考文献を読んで講義案を作成し，配付する．講義案は虫食い(空欄)や演習問題の追加などをふくんだ教材になっている．学生はテキストを読み，文献や講義を参考にして演習問題を自習していく．
4. テキスト
5. 参考文献
予習用に以下を入手するといい:
書かれている内容を知らなければ，自力で読んでおくべきもの:
参照すれば，理解の助けになりそうなもの:
学部生が自力で読むのは困難なもの:
三原の Web page にある規範経済学文献リストも参照．
6. 関連授業科目
経済数学(あるいは同等科目)，特に微積分を既習のこと．ミクロ経済学Iを既習または並行履修のこと．非協力ゲーム理論の既習は有利．本年度の経済学概論A (メカニズムと権利)は補完的な内容をあつかっているので，聴講を強くすすめる．数理経済学，公共経済学，公共選択論，(特) 投票制度分析との関連も深い．
7. 単位認定方法
口頭試験・筆記試験・演習問題アサインメント・授業中の発言などのうちのいくつかの組み合わせにもとづいて認定する．
登録者 8 名で，3回以上出席したのは4名．最後まで出席した2名中，「良」1名，「可」1名．その他は成績を出さず．期末試験はやらなかった．
4/17/00:
Handout:
-Extended syllabus.
-Notes Chapter 7. Pages 1-10. [To C,H,K,S,Z]
(Students should get the following) Copy: MWG Chapter 7.
Lecture: pages 1-4 of the notes (up to Example 7.C.3)
Intoroduction; What is a game; The extensive form represention.
Attendance: About 16 (though I prepared 100 copies!).
4/20/00
Lecture: pages 4-8 of the notes (up to the end of Section 7.D).
The extensive form representaion;
Strategies and normal form representation.
The formal definition of a strategy,
which involves the notion of a function on information sets,
seems difficult to grasp.
Attendance: about 7.
4/24/00
Handout:
-受講者調査
-Notes Chapter 8 first part. Pages 11-18. [To C,H,S]
Copy:
-MWG Chapter 8.
-[N] 永谷裕昭. 経済数学. 有斐閣, 1998, pages 23-37
-[K] 嘉田 勝. 気まぐれ数学談話室第3話. どんな病気にも効く薬がある：
数学で使う「言葉」のおはなし
Just for info:
-「香川大学で経済学を学ぶために: モデルプログラム」(Web page)
永久保存版!!
-経済学概論A (メカニズムと権利)の拡張シラバス (Web page)
-[R] 三原麗珠. 権利論への数理的アプローチ: レクチャーノート, 1999.
pages 1-23, 56-57.
Lecture: pages 8-12 (just before dominated strategies).
Radomized Choices; Intoroduction to Chapter 8;
Dominant strategies.
Attendance: 4 students and 1 colleague: CNTUW.
2年生絶滅．女の子たちも消えた．
「２年生の方が来たのは，三原先生が見たかったからではないでしょうか？」
との説も．
4/27/00
Lecture: pages 12-15 (the end of Section 8.B).
Dominant and dominated stratiegies.
Attendance: 5 students: ?NTUW.
Homework assigned: Exercises up to Section 8.B, due 5/11.
-できれば A4 size copy を提出．
-ナンバーのない Exercise は，「Exercise (notes p. 14.1)」のように
ノートのページ番号とそのページで何番目の Exercise かをしめすこと．
5/1/00
Handout: Notes Chapter 8.E. Pages 19-23 [To C,H,S]
Copy:
MWG Chapter 23.
ギボンズ pages 141-150. Read before next class meenting.
Lecture: pages 15-18 (Section 8.D) Nash Equilibrium.
Attendance: 3 students and a colleague: CTUW.
5/8/00
Mail announcement before the class:
「次回5/8/00は Bayesian Nash equilibrium をやる予定．鍵になることろであり，
むずかしいところでもあるから，ギボンズの3.1節も読んで予習・復習して欲しい．
3.1.A の応用例はざっとながめるだけで次の節にすすめるだろう．
MWG の説明は学部学生にはやや不十分なので，ノートでは補っている．」
Lecture: pages 19-22 (Section 8.E) Bayesian Nash Equilibrium.
-タイプを特定するということの意味．
-BNE を定義した Definition 8.E.1のゲーム¥Gamma_Nにおける
プレーヤーは，
「自分のタイプが確定する以前の(仮想的な)プレーヤーであり，
その利得は(事後的ではなく)事前確率によって計算される
期待利得である」といってよいか?---よいだろう．
Attendance: 3 students and a colleague: CNUW.
ノートの穴埋め程度の質問なら，すべての受講生がほとんど問題なく
答えられるようだ．
5/11/00
Homework Due: Exercises up to Section 8.B.
Handout: Pages 24-27 [To C,H,K,S]
Lecture: pages 24-27 (Section 23.A, 23.B,
up to the public project example)
Introduction; The Mechanism Design Problem
Attendance: 4 students: NTUW.
5/15/00
Handout: Pages 28-31 [To C,H,K,S]
Lecture: pages 28-31 (23.B, up to Example 23.B.5)
The Mechanism Design Problem: examples of auctions
Attendance: 4 students and a colleague: CNTUW.
Special session for T: 1440-1610 on Bayesion Nash equilibruim.
ノートの穴埋めをきちんとやってきていた．事前確率と事後確率
の理解を深めた模様．
5/18/00
Handout: Pages 32-33 [To C,H,K,S]
Lecture: pages 31 (Example 23.B.6)-33 (end of 23.B)
The Mechanism Design Problem: notions of a mechanism,
implementaion, a direct revelation mechanism.
Attendance: 4 students and a colleague: CNTUW.
5/22/00
Handout: Pages 34-37 [To C,H,K,S]; Sent pages 1-37 to TW.
Lecture: pages 34-35 (Section 23.C)
Dominant strategy implementation.
Attendance: 2 students and a colleague: CTU.
欠席がいたのできょうはペースを落とした．就職活動で欠席がちに
なりそうなため受講取りやめるつもりと一学生からメール．
このままやめてしまうというなら少々残念．しかしもともと単位を目的とした
受講生でないわけだし，まあ，そういう受講方法というのも
ひとつの行き方か．(単位とか学士号とかは大学教育のおまけのようなもの．
「それがとれないと大学教育の意味がない」などとは思わない．
だから香川大学経済学部の卒業率が低いこと[じつは4年在学生でも
60パーセントを越えているので高いのだが]を嘆く教員にはほとんど
同感できない．本質は教育であって，「資格」認定ではないからね．)
「短い間」ではあったがゲーム理論もだいぶカバーできたし，
学ぶところは大いにあっただろう．
5/25/00
Handout: Answers to Exercises pp. 1-3. (notes pp. 1-14, up to
Ecercise 8.B.2.)
Lecture: pages 35-37 (Section 23.C)
Dominant strategy implementation. A proof (resorting to Arrow's
theorem corollary) of the G-S theorem was given.
We skipped the rest of this section.
Attendance: 2 students: TU.
前回とはべつの学生から受講をとりやめたいとのメール．高校時代
選択した外国語が日本語だったため，ほとんど英語を知らない留学生．
(「月名と曜日名を英語で覚えた」と言って研究室にやってきて，
ホワイトボードにそれらをひとつづつうれしそうに書いていった，
かわいらしい中国人女子学生がかつていたことを思い出した．)
授業のハンドアウトをパソコンに入力し翻訳ソフトを使って
勉強するというやり方は時間がかかってしょうがなかったとのこと．
(できれば教材は電子化しておきたいが，私には余裕がないのだ．)
時間が限定されていることを前提とすれば，辞書と翻訳ソフトだけでは
高校レベル英語力の欠如を乗り越えられないということか．やはり
現在のところは英語力をきちんとつけておいたほうがいいようだ．
5/29/00
Homework due: Exercises 8.B.3 and Exercises in Sections 8.D-23.B.
Lecture: Answers pp. 1-3 (notes pp. 1-14, up to Ecercise 8.B.2.)
Attendance: 2 students and a colleague: CTU.
6/1/00
no class (進度調整)
6/5/00
Handout: Pages 38-41 [To C,H,K,S]
Lecture: pages 38-41 (Section 23.D).
Bayesian Implementation
Attendance: 2 students: TU.
6/8/00
Handout: Pages 41-43 [To C,H,K,S]
Lecture: pages 41-43 (Section 23.D).
Bayesian Implementation (linear utility and the revenue
equivalence theorem)
Attendance: 2 students: TU.
6/12/00
Handout: Pages 44-47 [To C,H,K,S]
Lecture: pages 38-43 (review); pages 44-45 (Section 23.E)
Participation Constraints
Attendance: 2 students and a colleague: CTU.
6/15/00
Lecture: pages 45-47 (Section 23.E)
Participation Constraints
U が遅刻したので，それまでの時間「概論A(メカニズムと権利)」の
試験問題チェックをTにしてもらう．問題はじゅうぶん容易であると判断．
Attendance: 2 students: TU.
6/19/00
No handout
Lecture: MWG pp. 897-900 (Section 23.F)
準備が間に合わなかったのでノートなし．テキストを参照しながらやってみた．
重要でない文をスキップしづらかった．
Optimal Bayesian mechanisms
Attendance: 2 students: TU.
6/22/00
Handout: Pages 48-50 [To C,H,K,S]
Lecture: pages 48-50
Optimal Bayesian mechanisms
Attendance: 2 students and a colleague: CTU.
6/26/00
Handout: Pages 50-54 [To C,H,K,S]
Lecture: pages 50-54
Optimal Bayesian mechanisms
Attendance: 2 students: TU.
6/29/00
Handout: None.
Lecture: MWG pages 905-910, Last Example.
Attendance: 2 students: TU.
7/3/00
Handout: Notes p. 54 [To C,H,K,S]
Solutions, pages 4-8.
Lecture: page 54, comments on the example
Attendance: 2 students: TU.
7/6/00
Handout: Solutions, pages 9-12.
Lecture: Solutions, pages 9-11.
Attendance: 2 students: TU.
7/10/00
No class.
7/13/00
Handout: Solutions, pages 13-14.
Lecture: Solutions, pages 12-14.
Attendance: 2 students: TU.
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Pages 38-54 sent to TW on August 3, 2000.
23 meetings.