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資源配分の公理的分析: 公平の理論

シラバス

香川大学地域マネジメント研究科2005年度
資源配分の公理的分析: 公平の理論 (Axiomatic analysis of resource allocation: Equity in theory and practice)
応用科目; 2年次 (2004年度入学者) / 1年次 (2005年度入学者); 2単位; 第2学期; 月曜日1820-2030 プラス補講; 場所 三原研究室 (最初4回は GSM 講義室)
三原麗珠

効率的な資源配分方法としてもっとも優れたものは価格(市場)メカニズムだろう.しかし私的機関や公的機関が,価格メカニズム以外のやり方で「だれがなにを受け取るか」を決める場面は意外と多い.ひとつだけある腎臓をどの患者に人工移植するか? 新しい家に上下水道をひくとき,どれだけ費用を負担してもらうべきか? 企業間の合弁事業で利益をどう分け合うか? 財産の中身について異なる好みを持つ相続人にどう財産を分けるか? 会社内でデスク (あるいはオフィス) やアシスタントそして勤務セクションを社員にどう割り当てるか? こういった日常起こる具体的な問題は,「公平」の確保という理由により価格メカニズム以外の決め方で解決されることが多い.

では「公平」とは何か? このコースではさまざまな具体的なケースをとりあげ,それぞれのケースで資源配分の「公平」の意味するところを体系的分析によって明らかにする.とくに「公平」を構成する基準をひとつひとつ明確に定式化し,複数の基準が互いに矛盾することなくどこまで同時に成立しうるかをあきらかにする.その分析の背後にあるのは,抽象数学をもちいた現代的アプローチである《公理的方法》とよばれる強力な数理的手法であり,社会選択や協力ゲーム理論といった分野で広く用いられている.それぞれの公理は,たとえば「ある配分 x 以外に実現可能な配分 y があって全員が x より y の方が望ましいと思うならば, x は採用すべきではない」といった,配分ルールにかんする要請を表現している.

このコースは,組織内のさまざまなものごとの「決め方」を見直したり設計したりしたい民間企業人はもちろん,つねに「公平」を意識しつつ仕事をすすめていかなければならない公共部門関係者,そして論理的思考力を鍛えることによって配分競争における説得力や交渉力を高めたいあらゆるひとびとにすすめる.その一方で,公理的方法への純粋な学問的関心を持って受講する学生の期待にも一定レベルで応えられる内容になっている.さらにおまけとして,英語の書籍から必要な情報を拾い出す作業をとおして,英文への抵抗感を和らげる機会も提供している.

前提科目・関連科目

厳密な意味での前提科目はない.ただし「ゲーム理論」「経済分析」「微分積分と線形代数」「オペレーションズリサーチ」などを通じて数理的思考力を鍛えておくことを強くすすめる.講義内容を理解するためだけなら,数学の知識はほとんど必要ではない.演習問題のいちぶには,変数が2個のばあいの最大化問題を解けることを要求するものがある.2次元座標上にグラフを描ける程度の高校数学の知識は必要である.(テキストの Appendix [The Mathematical Theory of Equity] まで理解するなど,より高度な理解を目指すばあいは,集合と写像の理解が不可欠となる.Appendix の一部で,凸解析やトポロジーなど,大学院レベルのミクロ経済学で標準的な数学概念が用いられている.それらの詳細な議論には深入りしない予定だが,特に希望する受講生がいれば出来る範囲で個別に対応する.)

関連科目としては「地域科学の数理」がある.このコースではその科目で採り上げるコンフリクト解消法を,異なるアプローチであつかう.「費用便益分析」「都市開発論」ほか,経済学専攻と経済学部の提供する経済理論やゲーム理論の科目も関係がある.

コースの進め方・成績評価

一部「虫食い」(空白)にした講義ノートを配付し,Young のテキストに沿って講義形式ですすめる.受講者全員の積極的な質問やコメントを歓迎する.講師からも受講者に質問する.本文の例,主要概念,定理の意味の直感的理解を重視し,細かな証明や Appendix にある数理的一般理論の大部分は省略する.受講者は授業内容やテキストを参考にしながら与えられた演習問題を自習していく.

単位認定方法は,筆記試験・演習問題の宿題・授業への貢献度などのうちのいくつかの組み合わせにもとづく. できるだけ標準の成績評価基準 (秀 90点,優 80点など) を用いる一方,点数は100点の上限にこだわらずに 以下を目安に配分する予定:

宿題は一定のカット点を越えた部分が上限 30 点までカウントされる.たとえばカット点が仮に10点のとき,素点が 5 点ならば宿題点は 0 点となり,素点が 35 点ならば宿題点は 25 点となり,素点が 45点ならば宿題点は 30点となる.宿題の提出しめきりは授業で該当部分をカバーし終わった一週間あるいは二週間後をめどにして指定する.その期限に間に合うように提出されたものだけを評価し,締め切り直後に正解を入手できるようにする.無理をして宿題を提出しなくても,試験で挽回するチャンスがあるためそれほど不利にはならないはずだ.

必読文献・参考文献

1. 必読文献

2. 参考文献

2.0. 高度な理解のために必要な最低限の数学:

2.1. 実際的な資源配分問題の公理的分析で,このコースの関心にひじょうに近いもの:

2.1.1. カバーする範囲の広いもの:

2.1.1. 特に焦点を絞ったもの:

2.2. 資源配分問題の分析で,このコースとは重点がやや異なるもの:

2.3. 資源配分以外の公理的分析

公理的方法は資源配分問題以外にも,投票理論やゲーム理論に応用されている.三原の Web ページにある「合理選択政治理論(実証政治理論)の手引き」にあげた文献案内を参照のこと.

2.4. マーケット・デザイン

マッチング理論やメカニズム・デザインなど,公理的方法と非協力ゲーム理論的方法を応用して,コンピューター・ネットワークによる「市場」(配分ルール) を設計し分析するのが分野がマーケット・デザインである.経済理論の応用のなかでも,もっとも実際的な分野だろう.ここではマーケットデザインをあつかうコースのサイトを (経済学者によるものと,コンピュータ・サイエンティストによるものをふくめ) いくつか挙げる:

全国規模の配分ルールの例としては,日本臓器移植ネットワークの各種ポイント制や日本医師臨床研修マッチングプログラム のGale-Shapleyアルゴリズムがある.

授業計画

1章を一回で,2, 4, 5, 7, 8, 9 の各章を二回でカバーする. 最終章の 10章は各自に任せ,3章と6章 (内容説明を角括弧で括ったもの) は省略する. 船木の 7章は一回でカバーする.

  1. Overview: 配分問題とは何か.配分問題を解決するためにどういう基準を採用すればよいか.個人間比較を要しない無羨望 (no envy) 概念とその限界,優先原理,配分基準の整合性 (consistency),比例原理ではうまくいかない非分割財配分の例など.
  2. Equity and Priority: 移植のための臓器や条件のよいオフィスをどのような優先順位で要求者に配分するか.ある分割できない財を要求者ひとりにつきひとつだけ受け取ることができ,要求者全員に配分するには財が不足する状況.それぞれの要求者の必要性や貢献度などをどのように考慮するか.配分基準の不偏性や整合性.
  3. [Equity as Near as May Be: 比例代表制選挙で,各政党へどう議席を配分するか; 選挙区へどう定数を割り当てるか,獲得票数や有権者数に応じた比例配分が完全には成り立たない状況.どのような近似が比例配分にもっとも近いか.]
  4. Equity, Equality, Proportionality: 破産した企業の資産を債権者にどう分配するか.財自体は完全に分割可能であり,それぞれの要求者の違いを共通の基準で計れる状況.単純な比例配分の原則にしたがうのがいつも公平といえるか.
  5. Cost Sharing: 企業間の合弁事業で利益をどう分け合うか; いくつかの自治体が共同の配水施設をつくるときコストをどう分けるか.具体的な配分は関係者の直接交渉で決まり,関係者は自分が損をしてまで協力する必要はない状況.単純な等分や比例配分では関係者の協力がえられないときどうすればいいか.
  6. [Progressive Taxation: 企業の業績が悪くて社員の給与をカットするとき,高給を受け取る社員ほどカット率を高くすることは正当化できるか.累進課税の理論を参考にしながら考えてみる.]
  7. Fair Bargains: 企業間の合弁事業でコストや利益をどう分け合うか.一般人の意見を完全に無視して決めてしまうのは問題が大きい臓器移植のようなケースとはちがって,関係者の直接交渉で決めてもさしつかえない状況.公平な交渉とはどのようなものか.
  8. Fair Process: 分割できる財(お金や土地)やできない財(食卓用銀製品や建物)そして均質の財(お金や食卓用銀製品)や非均質の財(土地や建物)をふくむ異なる種類の財産があって,要求者たちがそれらにたいしていろいろな分け前を主張するとき,それらをどのように分ければいいか.それぞれの要求者は一定の割合を受けとる権利を持っているが,財が分割不能であったり非均質であるため,その割合に応じた配分というものがはっきりしない状況.公平かつ効率的な配分はどのようなプロセスで達成できるか.
  9. Equity, Envy, and Efficiency: 前章と同じ状況.ただし財は分割可能で均質とする.もしそれぞれの要求者の持つ権利の割合に応じた初期配分が可能である場合,だれの状態もその初期配分より悪くなることがないような,公平かつ効率的配分はどうなるか.
  10. Conclusion: 「資源配分の公平」の意味するところは,具体的な状況ごとに異なる.それぞれの具体的配分問題におうじた適切な解決法を見いだすための指針として,7つの質問からなるリストを提示する.
  11. 男女のマッチングと家の割り当て: 貨幣のないケースのコア (船木第7章, 特に 7.1 から 7.4 節): 男女カップルの 安定な組み合わせをみつけるアルゴリズムを提示.日本医師臨床研修マッチングプログラムのGale-Shapleyアルゴリズム と基本的に同じものである.

おしらせ

2005年2月以前

香川大学地域マネジメント研究科 (GSM) にかんする フォーラム を開設しました.当分は「これからすべきことリスト」の類いを載せておきます.プロジェクト研究のグループ分けの決定方法についても,背景が分かるでしょう.

2004年度に学部夜間主演習でこの科目と同じ内容をたっぷり時間をかけて教えました. そのときの学生の感想がその講義ページに載っています.

[expired (終了)] プロジェクト研究を僕のところでやりたい方は,2月の希望調査時に「非分割財の配分問題」と書いてくれれば,「資源配分の公理的分析」の関連で何かやります.他に担当者がいるかとか,私が他のプロジェクトに参加しないかといった問題はありますが,おそらく受け入れられると思います.

2/19/05, 4/14/05, 8/31/05, 10/1/05

文献入手方法,時間割,メール配信登録方法などについて学生宛メール.以下はメール配信登録方法について:

次回以降の連絡メールは,第2回目の授業前である10月12日までに希望者にのみ配信します.配信希望者 (授業に登録する人,聴講する人など) は10月11日までにお返事ください.登録,聴講,その他の別も添えたうえで.メールを受け取れるアドレスなら何でも構いませんが,学籍番号とお名前は明示願います.配信希望で上記までに届かなかったときはふたたびメールください.皆さんからのメール (特に初めてのもの) がスパムに分類されてしまって見失うことがたまにありますから.

期末試験と総合成績

試験問題と正解例はこちら.

予備日である 2/7 日に受験したひとについても上記の試験 (問題 1-7) は解いてもらい,その他追加問題を与えた.上記試験に関しては平均点 54 点,中央値 53.5点だった (受験者 6 人で計算).問題ごとの平均と中央値と得点に対する平均値の百分率は次の通り:

問題 配点 平均 中央値 平均 / 配点 得点分布
問題 1-7 85 54 53.5 64% Suppressed
問題 1 14 10.3 12 74% 14,14,14, 10, 6, 4
問題 2 6 5.5 6 92% 6, 6, 6, 6, 6, 3
問題 3 14 11.3 14 81% 14, 14, 14, 14, 6, 6
問題 4 10 8.5 9 85% 10, 10, 9, 9, 7, 6
問題 5 13 6.3 6.5 49% 13, 9, 7, 6, 2, 1
問題 6 18 7.3 6 41% 18, 12, 6, 6, 2, 0
問題 7 10 4.7 4 47% 10, 10, 4, 4, 0, 0

問題5, 6, 7 のできが悪かった.はじめの方の章については,対応する演習問題をかなり絞った形で一週間以上前から範囲を指定していたためだろうか.特に「確実に出題する」とあらかじめ伝えていた問題 6(ii) の配点が 12 点あったにもかかわらず,その点数にも至らない答案がほとんどだった.問題 7(i) については,点数を与えるための易しい問題であった「予算制約線の式」を書けないひとが多かったので,試験中にヒントを出した.最後の章の問題なのでそこまで準備が間に合わなかったためだろうか.それとも演習問題では予算線を直接尋ねてはいなかったためだろうか.

期末試験の点数 (2月7日受験者については調整後の点数) は,85 点中 85, 69, 53, 49, 41, 22 点だった.

宿題の素点は 64 点中,高い順に 46, 38, 11, 10, 7 点だった.カット点を26点としたので,調整後の宿題点は高い順に 20, 12点,以下は0点となった.

期末試験の点数と調整後宿題点を合計したら,105, 81, 53, 49, 41, 22 点だった.出席などを考慮し,「その他」として高々15点をあげることにしていた.この段階で「その他」追加後60点に及ばない 41, 22 点のひとは「不可」が決定.53, 49 点のひとについては「その他」として 11 点〜15点を追加すると 60〜68点に収まるので「可」とした.残り2名には「その他」点は追加せず,105点を「秀」81 点を「優」とした.受験しなかったひとを含めると,「秀」1名,「優」1名,「良」0名,「可」2名,「不可」3名となる.

講師の感想など

遅刻が多いのがやりにくかった.期末試験は易しくしたのだが,意外とできていなかった.もう少し試験に密着した
補講を試験直前にできればよかったかもしれない.
試験の成績が悪かったひとでも,授業はそれなりにフォローできて楽しめるものではなかっただろうか.
もしそうならば,一定の成功はおさめたことになる.もう少し時間に余裕があれば,もっと楽しい例を入れ
ることができたかもしれない.
少しはルールづくりに関して批判的・建設的な視点を持てただろうか.身の回りの非効率や不公平をなくして
行こうという気概やそのためのヒントを得ることはできただろうか.

授業実績報告書から抜粋

資源配分の公理的分析 2005年度 応用科目 1年後期 月曜6-7限  担当:三原麗珠 受講者数7名

■授業実績の概要

1. シラバスの「授業計画」に完璧にしたがった.ただし船木 7章は12月の休暇中に補講で行った (時期は指定していなかった).1回の予備日 (計画では14回分だけ予定していたが,実際の授業は15回あった) は最終日に演習問題の解説に使った.また,授業時間は「授業計画」を優先して適宜調整した (毎週 2時間20分から2時間50分ていど).テキストの以下の部分を扱った:

2. 定義・定理・証明を中心にすすめる数学の授業ふうのアプローチは避けた.具体例を中心にあつかい,ルールやそれにたいする要請 (公理) の意味や,なぜそのようなものを考えるのかを理解させることに重点を置いた.

3. 授業前の講義ノート (pdf) ネット配信に加え,授業後の情報提供を重視した.授業の終わった後もその授業内容の現実への関連性について徹底的に考え,講義ノートの改訂や Web授業ログに反映させた.GSM の学生の関心がありそうな,地域で起こっている問題 (ダムの取水の分配方法,中央商店街活性化のための事業失敗時の破産処理方法など) と関連づけた説明も試みた.その他,次週の予定・演習問題の提出期限・演習問題の採点結果・追加文献の紹介などを毎週メールで配信した.ただ,授業の後処理に多大な時間を費やしたのは要領が悪かったかもしれない.

4. 講義ビデオの収録は行わなかった.時間がかかるため学生にあまり利用されていないためである.代わりに欠席者向けに補講を6 回,要点を解説した QuickTime 音声ファイル (mov) と手書きメモ (pdf) のネット配信を講義 2 回分行った.

■受講者の状況

欠席 (週に1, 2名) と遅刻が多いのが気になった.18:20開始予定なのに,集まりが悪く実際には19:00くらいになることがあった.

■課題

Young 2, 4, 5, 7, 8, 9 章と船木7章の演習問題を作成して宿題として与え,提出してもらった.

■期末試験

試験問題は演習問題の類題がほとんどだった.今年は2単位しか与えられないことを考慮して,簡単な問題を中心に出題した.記憶しにくそうなことは問題中になるべくヒントを与えた.問題は船木 7章,Young Chapters 2, 4, 5, 7, 8, 9 のそれぞれから最低1問は出した.Young 前半部については,特に注目すべき問題をあらかじめ指定した.

■成績判定基準

上に載っているので省略.

■ その他

受講生の感想

講師から

この授業の感想をメールで寄せるように受講生に依頼した.「内容は自由だが,以下のような項目を参考にしてください」とこちらが関心のある項目を挙げた.その項目を前提とした感想があるので,参考までにその内容をリストしておく.

履修済みだった科目,同時履修の科目,その成績 (経済分析,ゲーム理論,微分積分と線形代数,OR から).分かる範囲で.非公開情報ならそう書いてください.
どういう知識が前提として要求されていると思うか.前提知識不足が問題になることはあったか.どの部分で.
この科目は何単位で提供すべきだったか.小数点可.
来年以降は,演習問題の正解をあらかじめ配り,小テストで類題をやる方法を考えている.今年度のやり方とどちらがいいか.
授業で印象に残った公理や定理.
科目の内容は実務と関係があると思うか.
この科目に関してどういうプロジェクト研究が考えられるか.
講義ページに載せた講師の感想も参考に.

学生 S

○ 履修済み科目及びその成績
・経済分析(担当教官:雲先生) 優
・ゲーム理論(担当教官:宍戸先生) 優
微分積分と線形代数、ORは履修していない。

○ 必要な前提知識
資源配分の公理的分析の前提知識としては、ミクロ経済やゲーム理論に関する知識が必
要かと思うが、基礎的なもので十分であろう。ただし、そうした知識がなくても、講義
ノートや文献の事前リーディングをしていれば、内容は理解できるのではないかと考え
る。受講する学生に予習させることが重要で、そのための仕掛け(講義ノートの穴埋め
問題を授業中に挙手方式で答えさせ、正解者には得点を与えるなど。)が必要だと思う。

○ この講義の単位数
事前リーディングにかけた時間と手間、講義時間、そして習った分量を総合的に判断す
ると、2単位以上の講義(だいたい3単位)だったと感じた。
 この講義を4単位にするとすれば、テキストの内容を全て学ぶ内容にするとともに、
事前リーディングの徹底により学生の理解度を向上させ、授業中の意見交換を活発化さ
せるなどの工夫が必要ではないかと思う。

○ 演習問題について
演習問題は、正直に言って難しいものも多かったが、やはり一度は自分で悩んでみるこ
とで理解は深まるのではないか。そういう意味で、演習問題の正解をあらかじめ配布す
るよりは、今年度のやり方のほうがいいと思う。

○ 印象に残った内容
まず、授業の最初のほうに出てきた腎臓の配分と布争いのルールが新鮮だった。腎臓の
配分ルールは、人の命にかかわるものであるだけに、そのルールの決定の難しさを感じ
た。一方、布争いのルールは、争われた部分は持っている権利に応じて分配するが、争
われない部分は、権利を持っている要求者にいくというのは少し不公平な感じがした。

 その他には、費用をどのように負担しあうかについてのシャープレイ値は、現実の問
題に適応できそうだという意味で印象に残った。行政の世界で仕事をする自分にとって、
他の行政機関との共同事業を行う場合、どのように費用負担を配分するかというのは現
実に起こりうる問題であり、かつ解決の難しい問題である。最終的には政治的判断にな
る場合が多いが、その前提として理論的にはどのように費用配分するのが公平かという
ことを明確にできる点で活用可能と思われる。

○ この科目に関するプロジェクト研究
印象に残った内容で書いたことと重複するかもしれないが、公平な費用負担に関した研
究ができないか。例えば、瀬戸大橋の建設費・維持費(この部分は、正確でないかもし
れない。)は、香川県や岡山県などの関係自治体が、毎年度、一定割合の負担を行って
いる。この負担割合がどのように算出され、本当に公平なものとなっているかを研究す
るというのが考えられる。現在の利用状況に照らして見てみても面白いかもしれない。

以上、ざっぱくな内容になってしまいましたが、三原先生の講義の感想をお送りいたし
ます。半年間、どうもありがとうございました。今後とも、講義のさらなる充実に向け
て頑張ってください。

学生 C1

□関係する科目の成績
微分積分と線形代数:良
OR:今期受講のため成績未確定
経済分析:受講せず [講師注: 一定のミクロ経済学の知識はあった]
ゲーム理論:受講せず

□前提知識として、とくに必要と感じる授業はなかったです。
代数的な知識もあれば有利だが、
グラフなどから直感的に理解できる力さえあれば、問題ないと思われます。
英語の力が無くとも授業に参加することは可能だが、
予習・復習時に必要とする時間は大きく異なると思います。

□授業科目と単位数の関係性については、他の授業との比較で考えれば、2単位では
不十分(少ない)といえます。
但し、「2単位の授業」をどうとらえるかに拠って異なるように感じられました。
つまり、他のMBAコースや大学院の授業内容に知見が無いためコメントしづらいで
す。

[追加]
追加的に単位数の話についてコメントします。

他の授業と比べた場合、当該授業は2単位では少ないと感じる。(既出)

また、授業時間を基準に単位数を考えた場合にも2単位では不足している。

他の授業とのバランスを、内容量の側面で考えるのであれば、むしろ4単位が相応
しい。

さらに、「公平配分 A、B」といった科目名であっても特段混乱が生じるとは考えづらい。
なぜならシラバスには、授業毎に前提となる条件(事前に受講しておいた方がいい
科目)が記載されており、受講者はそれを読んでおり、また
アカウンティングとビジネスアカウンティングは同科目の基礎と応用的な内容だ
が、特に問題は発生していない。(アカウンティングはいまのところ必須ではある
が・・。)
[追加終わり]

□期末テストの結果で痛感したのは、しっかりと授業に取り組んだ部分と、そうでな
い部分の結果が如実に現れているという点です。
つまり、予習・宿題をこなした部分(前半)は、期末テストにおいても相応の得点
を得られているが、
気持ちがだれてしまった後半部分の、得点があまり得られていなかったです。

□以上のことから考えれば、小テスト方式の方が、弱点や生徒毎の取組姿勢を把握す
るために有用かもしれない。
また、今年度と同じ方式である場合には、受講者にとっての予習と宿題の重要性
は、引き続き高いものと思われます。

□雑感ですが、授業中にもお話しさせて頂いたように、公平と言われる分配方法がい
ろいろとあって、それぞれに特徴があると言うこと自体が驚きでした。
この授業で、ある一つの公平な配分方法が見つかるわけではないところが興味深
く、また多角的に問題を分析する視座を得たように思います。

□私見ですが、非常に興味深いテキストであることから、日本語訳と出版を行うプロ
ジェクトを実施しても面白いと思います。

取り止めのない感想でもうしわけないですが、ありがとうございました。
もうちょっと深く予習すれば、吸収できるものが多かったと思うので後悔していま
す。

学生 A

○履修済関連科目
  ゲーム理論 優
  微分積分と線形代数 良
  経済分析      良

○感想
・率直に言って、大変面白い内容でした。「公平な配分」という日常的に直面する問題
について、これほど学問的な深みがあることに驚きました。
・前提とする知識としては、ミクロ経済学の基礎的な知識があった方が良いのではない
かと思いました。私の場合は、せっかく履修したのにきちんと覚えていなかったのがテ
ストの結果に出てしまいました。
・単位数については、4単位にするとプロジェクト研究(4単位)とのバランスが取れな
くなるのではないかと思いました。ただ、前期と後期に分けて2単位ずつにするという
ことであれば良いと思います。
・この講義と「地域科学の数理的分析」は、シラバスでは確か両方とも履修することを
進められていてと思うのですが、できれば1年次あるいは2年前期に受講できればよかっ
たと思います。言い訳にはならないのですが、後期はプロジェクト研究に追われてしま
い、宿題や予習がおろそかになってしまいました。

学生 X1

途中からしっかりと出席できなかったのが残念でしたが、
「資源配分の公理的分析」は地域マネジメント研究科の科目の中でも
有益な科目だと思います。
「マネジメント」と言った場合特に重要なことは理論と実践であると
思いますが、その理論をしっかりと学べるという意味において
この科目はゲーム理論と同じくらいに重要です。

ただし、履修の要件として記載されていたように
「基礎」レベルの数学の知識は必要で、その分理解できなかったところが
あるような気がするので、
中学・高校の時にちゃんと数学を勉強していれば
よかったかなぁとは思います。
数学が極端に不得意であるがゆえにこの科目を
難しいけれど重要に感じるのかもしれませんが。

どちらにしても、自分としてはこの科目で教えられたところは
不幸なことに、今期理解できなかったので、独学するか(←おそらく無理。)
来期開講されるのであれば、履修するか、聴講するかして
内容を身につけて地域マネジメント研究科を卒業したいです。

単位数について4単位にすべきかどうか、という議論がある
ようですが、2単位でもかまわないのではないでしょうか。
確かに4単位分の分量があると思いますが、
学生からすると、やる気の問題だと思いますので。
ただ、4(2+2)単位にしていただけると、前半2単位は
数学がほとんど必要ないので、私にとってはいいかもしれません・・・。

※先生もメールの文章をもっとやさしくされると
履修者も増えると思います。
先生ほどメールの印象と実際の印象が違うひともいないのでは?
あ、でも履修者が増えても「やる気」がない人は
先生、お嫌いですよね・・・。

学生 X2

履修済科目→ゲーム理論 「優」
後期同時履修科目→経済分析
未履修→微分積分と線形代数,OR

●必要前提知識
ゲーム理論が前提知識としてあればベター.あとは高校数学程度の2次方程式が理解で
きていれば問題はないと思う.

●授業の単位数
正直よくわりません.先生が4単位にしたいというお気持ちは分かりますが….僕自身
からすればGSM自体の単位数がもともと2単位が基準となってる事が公理的なのかどう
かがわかりません.自分の基準としては他の科目と比較してどうかという基準になりま
す.「資源配分」以外に,「これだけやっても2単位かよ〜?」って思う科目もありま
すし,「え?これだけでも2単位あるの?」っていう科目もあります.その基準でいけ
ば2<「資源配分」≦3.8ぐらいの感覚です.

●演習問題
宿題については全くしなかったので,何とも言えません.やり方を統一するのではなく,
いろいろなやり方を試みて学生のリアクションが一番良い方法を採用してはどうでしょ
う.

●印象
授業を欠席し補講をして頂いた際,Chapter7”Fair Bargains”で効率的達成での内容
の講義については,仕事に対するモチベーションについて再認識というか,気づかされ
たモノがあったと思います.

●感想
履修前の先生自身への先入観と実際に受講後のインスピレーションのギャップはあった
と思う.
それはほぼ全員が感じているだろう.そのギャップは「あまり良くないかな?」→「そ
うでもないじゃん!」への差である.もちろんここは大学(大学院)であり,中学や高校
でもなく先生は教師ではなく学者であるが故に可能性としてありうる.個性的って事で
す.その個性は大事な事だと思いますよ.一つ僕からの忠告をするならば,前にO氏も
言ってましたが,「コミュニケーションの仕方が少し問題かな〜.」って,僕もそう思
います.授業自体は問題ないですよ.
授業以外のコミュニケーションがって話です.後期の履修前に授業に関するメールを学
生にしてましたが,内容がちょっとアナーキーだったと思います.折角,いい授業をし
てるのに損をしてるような気がします.第一印象はソフトな方がベターです.でも,そ
れが三原麗珠なのでしょう.これからもRockにいきましょう.半年間,お世話になりま
した.Grazie!!

学生 X3

とても授業は興味深いものでしたが、負担が重かったというのが
正直な感想です。また、授業の説明は上手だったので、難しい数学に対して
興味が持てるようになったというのもあります。けど仕事に時間を取られすぎて
授業どころではなかったです。一生懸命授業してくれた先生には申し訳ないと
思っています。とても反省しております。その点では。

ただし、先生の社会性の無さ、にはちょっとついて行けない部分もあるっていうのが
本音です。先生が学問をビジネスに活かそうと考えたところはとても買っていますので、 
もっと研究者として突っ走ってみたらいかがでしょうか?周りの教授連中と仲良く
やろうとか思わないで。先生はみんなとちょっと才能の方向が違うんだから
あんまり無理に合わせようとせずに、伸び伸びできる場を探してみたらいかがでしょうか?
世界の三原麗珠として活躍することを祈ります。

授業記録

10/3/05 Class 1

1820-1950, 2000-2110. 大部分が遅刻で,最終的には9名程度.
タクシー料金を屋島人と牟礼人の二人が分担する例,シラバス,8/31 & 10/1 メール,そしてノートという順番.
Text (Young 1994, Equity: In theory and practice) Chapter 1, all sections.
やはり 2 時間で終わらせるのは無理だった.「読めば分かる部分」(理論や例以外の大部分) を大幅に削るべきか.

講義ノートへの追加的コメント

講師の感想

講義ノートの pdf をプレビューで表示した Macintosh の画面と,ホワイトボード,そして手書き部分を表示するための書画カメラを切り替えながらの講義.机には他にも Windows パソコンや,講義集録用のべつの Mac,スクリーンのモニタ,スクリーン表示その他を切り替えるスイッチ,不明なパソコン,スキャナらしきものなど.書画カメラとパソコン画面の切り替えは操作はそんなに困難ではなかったが,他の理由で授業がやりにくかった.スクリーンが不鮮明なため文字サイズを大きくしなければならないため,画面上に表示される行数が限定されることが原因だろう.教えていてときどき前後関係が掴みきれなくなるのには参った.理論や例は頭に入っていても,著者独自の話しの進め方までは覚えていないのだ.ノートは話の構造が分かるように箇条書きに書いてある.しかし,数行しか見えない状態ではその特徴がなかなか生かせない.少しずつ画面をスクロールするのではなく,パワーポイント風にしたほうがいいのだろうか.しかしパワーポイントだと画面が細切れになって,さらに全体像を把握しにくくなる感じがする.

ズームをどう変えても書画カメラがA4ページの横幅全部をとらえられないのは問題.ホワイトボード用の明かりも教卓で操作できるといい.

ディスカッション形式の授業にはならないか?」と質問あり.私のやる分野ではディスカッション形式は効果を認められていないのだろう,そんな授業は受けたことがない.ただ,一定のやりとりはもちろんできるので,質問だけでなく,何かいい例があったりしたら披露してほしい.受講者の発言が過剰になればコントロールできると思う.あと,発言するしないにかかわらず,自分の身近な事例と関連させ,身近なルールの改善法を考えながら受講するのが効果的かもしれない.

「英語を読む機会ができる」とか,「状況を単純化してスパッと切る感じがして、とても面白かったです。哲学的な問いに対して、数学的に応える姿勢がとても良いです」という感想あり.英語を読む機会にはなるかもしれないが,哲学的なことはほとんど扱わない.日常的な問題を数学的視点を取り入れて考え直すと言えば,ほぼ正しいが.

ところで,これらのコメントをしたふたりが,「もっと遅い時間に始められないか?」と希望.7時でも早いと言う.残念ながら,そのつもりはほとんどない.「社会人は早く退社しづらい」というが,普通はクビにされてもやって行けるようになるために MBA を取るんじゃないのか?「文句あるなら,クビにしたら?」と言ってさっさと退社したらいいじゃないか.それに7時でもダメというのはボクの授業だけか?他のも同様だったら月曜から金曜の授業の半分はあきらめなければならないじゃないか.それとも授業収録システムを利用できるから,あきらめなくてもいいんだろうか?---などと思ったわけではないが,その二人からもらったメールから職場を推測すると,なんか知的というか,かっこ良さそうな横文字名前の職場ではないか.コンサルタント付き図書館……じゃあないよな.仕事内容は知らないが,英語と韓国語と中国語のうち二つくらいは話せそうじゃないか.工学の全部とは言わないでも,一部については先端的知識を持っていそうじゃないか.これじゃクビにはなりたくないだろうなあ.でも,あまり遅く始めることはできないので,ご勘弁を.

本日の講義を逃した諸君,まだチャンスはある.Chapter 1 のノートを読んで疑問点をしぼっておいてくれれば,2回目の講義の前か後にでもポイントを教えよう.

さて,受講生に考えて欲しいことがある.こちらのブログに投稿した文章,特に第3節「授業の進め方」を見て欲しい.そして次回の授業の前か後あるいは休み時間にでも意見を聞かせてもらいたい.

10/17/05 Class 2

1825-1940 (up to Section 3), 1950-2130. はじめて10分くらいで4名がそろう,Section 3を終えて休み時間に入る直前にあとひとり,計5名.
Text (Young 1994, Equity: In theory and practice) Chapter 2, Sections 1-4.
時間がかかったが,これ以上ペースを上げるのはむずかしいかもしれない. 「もっと速くするとわけ分からなくなりそう.時間かけてもいいんでは」と O と Sw の意見. 次回教えるときは,Section 4 の理論的あつかいを軽くすべきかだろうか.

講義ノートへの追加的コメント

講師の感想その他

学生とのやり取りは前回よりはだいぶ増えた. 書画カメラがA4ページの横幅全部をとらえられない問題は解決.マウスを使ってズームを変える必要があった. ただし,書画カメラの映像がとても不鮮明.

ひとりの例外 F さんを除いて,テキストをまだ買っていない受講生たち.「英語を読む機会ができる」とか言っていたくせに. 講義中は,書画カメラでテキストを参照できるが,試験中はそうはいかない. 図表などすべてふくめてノートにすればいいと O さんは言うが,Young のいいところが失われる. 特に事例を記述した部分や,事例と理論をつなぐ絶妙さなんかは現物を読まないと分からない.

受講生が少ない大きな理由は,テキストが入手しにくいことではと O さん.生協に売ってるなら買いに行くが, あらかじめ受講するかどうか迷っている段階では買いにくいとか.図書館も時間帯が使いづらくてチェックしてないと. 以前,外国書テキストを生協に入荷してもらったとき,学期後に6分の1くらい?の値段で多量に売っていたのを思い出す.

O, T, Sw の3人が授業後20分程度研究室を訪れた.授業にかける時間やどうでもいいことについて話したり,テキストを借りたり,書籍の趣味を確認したり,タオルを見てボクと右翼団体との関係ついて確認したり.

10/22/05 Class 2 の欠席者向け補講

1005-1215 (up to Section 4), 1215-1240 (Section 5), 1240-1300 (雑談) K and G
Section 1-4 は2時間強.ノートの穴埋めも尋ねていったし,それほど急いだ感じはない.

雑談.この授業には直接関係ないが,すすめられるゲーム理論の本を挙げろと言われ,『図解雑学ゲーム理論』を挙げた. この科目の意義について,「結局,いろいろな決め方があるということで終わるんですか」と G さん.回答としては,すでによそに書いたことなどを繰り返した.ただ,いろんな決め方のどれがいいかというのは場面により異なる.どういう場面にはどういうルールがふさわしいかを考える機会にはなるんじゃないか.

10/24/05 Class 3

1830-1935, 1950-2040 (up to the end of the chapter); 2040-2100 (discussion). 1830 ころまでに4人,残り3人は1905 までに入室.
Text (Young 1994, Equity: In theory and practice) Chapter 2, Sections 5-6.
ときどき質問すると,フォローできていないひともいた.よってスピードとしては,こんなものか.

講義ノートへの追加的コメント

講師の感想その他

ある問題を O さんに答えてもらったら,「そんなにボクは答えたそうにしてますか?」と.「そのくらい分かる.まかせてくれ」という表情に見えたが,なかなかいいんではないか.ただ,もう少し歳を取ると知恵 (?) がついて,やりたくてもやりたくなさそうな振りをしてひとに恩を着せるひとが増えるようだ.仕事の話だ.(そして,「やはりやりたくなかったんだろうな」と思えてしまうくらいの結果しか出さない.) 大学のばあい,仕事ができると思われると仕事をたくさん任されるようになる一方で昇級には関係ないという事情も手伝い,やる気もなければ仕事もできないふりをする教員が多いような気がする.一方で,どんなに人間関係を犠牲にしてでも大学改革なんかの仕事を達成してやると意気込む少数派もいる.

前回の授業で,ボクの専門を尋ねたO さん.その答は社会選択理論であり,特に今日出て来たアローの定理の拡張にかかわる部分である.本日,投票理論家が Condorcet, Borda, Arrow と出て来たが,4人目は誰だろうか? その解答が知りたければ,このサイトのトップページのトップにある英文を見るとよい.関連記事へのリンクがある.

追記 (11/2/2005). もと学生から先週メールあり. 「既にご存じかも知れませんが、最近出たAlan TaylorのSocial Choice and the Mathematics of Manipulationという本の6章で三原先生の業績が大々的に取り上げられているみたいです.(Indexを見ると、言及されているページ数は Arrowより1ページ少なく、Senと同じといった具合にsocial choiceの巨星らと肩を並べている」 Amazon にあるその本の情報の「なか見!検索」の索引を見ればたしかに Mihara は 4 ページ分出ている.しかし,他にもっと多く出てくるひとがいるわけであり,べつに突出しているわけではなかった.それにしてもひとが参照してくれる部分は,論文の主要結果ではない簡単な部分が多い.

その O さんがアローの定理が出て来た時代背景なんかを尋ねる.経済理論史は公理的方法よりもさらに役に立たない気もする.そんなこと知ってどうするとも思ったが,まあいいだろう.本音では,「特定の数学的定理が出てくるのに,時代背景なんか関係ない」と言いたいところだ.だが,現代に生きている学者の立場から見れば,環境とか情報といった特定の領域に政府の補助金が注ぎ込まれて学問分野の発展を歪めているのは強く感じる.だから時代背景も無縁ではないかもしれない.思いつくものを挙げれば,数学の分野での公理的方法の発展とゲーデルの不完全性定理による公理的方法の限界の提示,そして世界大戦を契機としたゲーム理論やオペレーションズリサーチの興隆などが背景にあると言えるだろう.特にアロー個人は軍で最適化の研究をしたり,アメリカ空軍と縁の深いランド研究所でゲーム理論を使った国際紛争や戦略の分析をしたといった経歴があるらしいので,そういう時代背景の影響を受けなかったと主張する方がむずかしいかもしれない.

コンピューター科学に社会選択やメカニズムデザインの考え方が入っている話は,theorist の社会科学カテゴリーでも触れられている.

岡山にできたという秋葉原のコスプレ喫茶を視察に行こうという話.なんのことかボクにはさっぱりだが,むかしある時期流行ったというノーパン喫茶のようなものだろうか.ここはビジネススクールらしく,メニューにないサービスでも注文して店の反応を観察してみるのも勉強になるかもしれない.

10/31/05 Class 4

1830-1945 (upt to Section 3), 1955-2045 (up to Section 5); 2045-2130 (2章の演習問題の解説). 1830 までに5人,残り2人は1910までに入室.
Text (Young 1994, Equity: In theory and practice) Chapter 4, Sections 1-5.

講義ノートへの追加的コメント

講師の感想その他

Contested Garment Solution あるいはそれと整合的な配分ルールは現実離れしているという感想を抱いたひとが多いかもしれない. そのルールを使うとよさそうな状況なんかを考えてみるといい. そのルールの特徴として,入手できる量が少ないときは比例配分よりも要求権の小さいひとに有利になっていることが挙げられる. 「状況が厳しいときはより平等に」という原理が働いており,水不足の際のダムの取水量決定なんかに使うと合理的かもしれない.

演習問題の解説は,正解をプロジェクタで提示しながら行った.特に追加問題のところの受講生の反応が悪かった. 速すぎただろうか.証明はなかなか見ただけでは理解できないものだ.ホワイトボードに書きつつ説明するのが 望ましいと思うが,今日のところはああいう説明方法にした.質問があればどうぞ.試験直前には またやる機会もあるかもしれない.ちなみに,2章の演習問題の得点は,高い順に 9, 7, 4, 4, 3 点だった.

Tさんと Sw さんが,この授業は考えなければならない分,時間が経つのが速いと.そんなに退屈はしないということか. T は続けて,授業外でノートやテキストを開く気にならないと.補講が学習時間の一部肩代わりをしているのでは あるが,それだけでは試験問題を解けるようになるのは難しいだろう.分かった気になることと自分でできることとは ちがうので,失敗しないように注意したほうがいい.どちらかといえば宿題で正解者が少なかった 問題の方が試験問題になりやすそうな気がする.

前回の授業記録に「追記」を追加.三原の研究が完全には忘れられていない話.

11/7/05 Class 5

1840-1950, 2005-2125. 本日から三原オフィス.集まりが悪い.1845 までに3人.その後1920, 2010. 欠席二人.
Text (Young 1994, Equity: In theory and practice) Chapter 4, Sections 6-10.
予想外に時間がかかった.昨年の夜間主の授業よりも時間がかかった.大きな教室から狭いオフィスに移ったせいか, ディスカッションが増えた.夜間主授業ではあまり議論にならなかった部分だが,今年は半官の銀行のようなところに勤めている ひとが複数いることもあって,特に5つの配分方法のグラフを巡って活発な議論があった.

講義ノートへの追加的コメントその他

11/9/05 欠席者向け補講

1905-2025, 1人出席.質問に答える形式.baseline を「基準線」と訳していたので「線」であって「点」ではないと思って混乱 したとか."dual"の意味.

11/11/05 麗珠会

いつのまにか「麗珠会」という名前が付けられていた飲み会. 大雨にもかかわらず,最初のひとは20時頃やきとり武蔵屋に着いて, 夜10時ころまでに授業の受講生5人+ボク+ブログライターひとりが集まった. ちなみにボク個人は80分遅刻の2120から参加.前回の授業を欠席したひとに15分程度の補講. あとで成年男性4人で行ったスナックのママさんはよかったが,店の子のガードがひじょうに固かった. 十字架をつけてたけど,本物のクリスチャンを揃えてるんではと思うくらいだった. その一方で,店の二十歳くらいの子は,手とか肌がすべすべだとか言って,ボクの手とか頬とか触りまくっていた. 食生活がめちゃくちゃだから,ビタミンとかミネラルとかのサプリを補給しているからかなあ. あと,外に出ないから色白になるし.いずれにせよあまり健康的な理由ではない. さて,翌日朝3時までいったいわれわれは何をしていたのか.

ここでの名前の記述だが,基本的にイニシャルには「さん」をつけたくないし,イニシャルでなくても呼びかけてもいない 第三者を記述するのに「さん」をつけるのは抵抗がある.しかし,このページは変数や関数の記号が頻出するので, 区別するために「さん」をつけている.

ビジネスやスクール関係の話としては,最近はやりの人形の話とかが印象に残った. ほかに,T さんが GSM は儲ける方法を学ぶところというビジネススクール 生として当たり前の認識を持っているのが新鮮だった.地域マネジメント研究科は,地域振興といった 曖昧な (?) 目標を掲げているため,その目標をまじめに受け取っている学生も多い. ただ,地域に貢献するにしたって,利潤を生みつつやるのを目指すべきだろう. T は,ボクが出すアイディアをこの授業の受講生でビジネス化しようなどと,都合のいいことも 言っていた.だからボクは「そんなもん無い.自分でやれ」と言った.この授業で想定している便益は, 抽象的思考を通して論理能力や問題解決能力を高めるといった,間接的なものがほとんどだ. より直接的・実用的な便益として想定しているのは,組織内部のルールをデザインし,改善して行けるような能力を高めるといったことだ. 新しい商品の開発とかビジネスの創設といったことはあまり想定していない. 強いていえばコンサルティングに役立つ知識も少しは混じっているかもしれないが, 実際に利用できるにはいろいろソフトを開発したりと, 工学系の人材も必要になると思う.どういうソフトの開発が必要か,次の次の授業あたりに 例を挙げてみてもいいが,それは機密ということでここには書かないかも.

11/14/05 Class 6

1840-1940, 2000-2110. 受講生の入場は,1820, 1835, 1850, 1855, 2000.欠席は一人.
Text (Young 1994, Equity: In theory and practice) Chapter 5, Sections 1-6.

普段元気な人が欠席したためか,開始時刻が遅れて急いでいたボクがちょっとしたコメントをいくつか端折ったせいか, 特に議論が盛り上がることもなく,静かに授業は進んだ.コスト配分の問題は,地域マネジメントにもかかわる 話が多いので,議論になると収拾がつかなくなることをみんなが恐れたためかもしれない. 続いて4章の演習問題 (提出者4名; 「やろうと思ってたが飲み会の時間が長くなってできなかった」とかいう T さん) の解説をしたかったが,みんな疲れたというので止めた.

ちなみに 4章の演習問題の得点は,高い順に 9, 8, 4, 3 点だった.問題5, 6 のできが悪かった. 次回はそれらの問題に重点を置いて解説する予定.

コメントその他

11/18/05 欠席者向け補講

1805-2055 (chapter 5 全部); 2055-2115 (chapter 4 演習問題). 前回と次回やむを得ず欠席せざるを得ない受講生のために補講.
4章演習問題は 5, 6 のみ解説.

11/21/05 Class 7

1830-1840 (早明浦ダムの費用分担); 1840-1910 (chapter 4 演習問題), 1910-2010, 2020-2100 (chapter 5), 2100-2125 (chapter 4 演習問題 再度).
受講生の登場は,1820, 1910, 1920, 1920, 1930, 1945. 欠席は一人.ひとりは 4章演習問題の解説聞かずに退出.
Text (Young 1994, Equity: In theory and practice) Chapter 5, Sections 7-8.
4章演習問題は 5, 6 のみ解説.

きょうはいきなり理論に入るため,そして量も少なかったので,最低2人そろうのを待った. 遅刻さえ無ければこの授業はひじょうにやりやすいのだが.

小さな部屋で授業しているため,学生の表情が把握しやすい.特によく分かっていないところでは, 「そろそろ質問が出るな」というのが分かる.

11/28/05 Class 8

1835-1935, 1945-2120 (chapter 7); 2120-2225 (ふたりと雑談など). 受講生は,1820, 1830, 1830, 1900, 1930, 1945 に入室.欠席一人.
Text (Young 1994, Equity: In theory and practice) Chapter 7, Sections 1-4.

5章の演習問題の得点は,高い順に 7, 7, 4, 3, 3 点だった.問題 2(i), 4 のできが悪かった.

講義内容について

その他

来年度以降この科目を2単位2科目に分割する可能性がある.現状では単位数が 2 単位は少ないかと受講生に尋ねると,そうだという意見が大勢だった.テキストのレベルとページ数で判断する限り2単位で十分だと私は思うのだが.時間をオーバーしてやっていることもあって,受講者は3単位くらいは欲しいようだ.宿題など授業外の予習復習がもっときびしい科目もあるという.予習復習でやってもらえばすみそうな簡単なことまで説明しているから時間がかかるのだろう.でも,説明が丁寧すぎるということはないという.いまくらいでいいと.

受講生のひとりはノートの英語をほぼぜんぶ日本語に翻訳するほど予習している.(ただし,その勉強法はすすめられない.訳しても英語を覚えることにはつながらない.内容が理解できているかどうかは,訳さなくても分かるはずだ.自分のことだから.日本語に訳すくらいなら,英語を何回も読んだ方がいい.僕自身を振り返っても,中学高校時代そういう予習をするように言われたが,いっさいやらなかった.ただひらすらテキストを読み返しはした.大学受験では和訳があるからこのやり方は問題あると思うだろうが,ほとんど障害にはならなかった.学部以降,英語のテキストで経済学などを勉強するようになってからは,訳すなんてことはまったく考えることもなかった.) たまたまほかに聞いた二人も,ノートに目を通してどのへんが分からないかを確認するくらいの予習はしているという.それでも, 説明が丁寧すぎて退屈することはないというから,やはりいまくらいの時間をかけて教えて,科目自体も4単位にしたほうがいいだろうか.ちなみに,二分割するとすれば,この7章あたりが後半のはじめになる.

授業後に政策投資銀行のひととジェトロのひとに質問を受け,その後雑談.GSM の科目のことなど.過去とった科目では,「ゲーム理論がいちばん役に立った (考えさせられた?)」と数学が苦手だという (←語学が得意という意味?) ジェトロ黒髪さんの意外な答.それではと,3人決闘ゲームをもちだして尋ねてみたら,政府系金融人よりもやや先読みをした黒髪さんであったが,不完全な先読みだった.僕のこの科目もよく考えさせられるという.ただ,考えるだけなら抽象数学の問題でも解いてもらった方が本格的なものが要求されるし,抽象的なものほどいっぺんにいろんな現象を扱えるんだが (現実を抽象化して逸話ができる; 逸話を抽象化してゲームができる; ゲームの理論は個々のゲームを扱うのではなく,それらをまとめた抽象理論を提供する).でもそれよりは日常や仕事とつながりのある内容のほう (個々の具体的なゲームレベルの議論) がいいようだ.数理的な理論よりも数値例などを多くして欲しいと言っていたので.政府系のひとは,この科目は企業人よりも公共人向けなのではという印象を持っていた.僕自身のイメージとしては国家とか地域レベルの問題よりも,むしろ組織内のルールを考えるときの参考にしてもらいたいと思っているので,ビジネス系も公共系もないんだけどね.

効用と言えば,先週末紅葉を見に柏原渓谷というところに行って来た.道が狭くてクルマがやっと一台通れるようなところだった.鮮やかな紅葉を求めてずっと入って行ったが,けっきょく西から入って東の塩江から出てしまった.ずっと狭い渓谷が続いていて,見せ場というか,景色を眺望できるような開けた場所がなかったのがやや弱みじゃないか.

12/3/05 欠席者向け補講

1310-1540 (chapter 7, Sections 1-4); 1540-1605 (非協力ゲーム理論の話など). 前回欠席の 1 名参加.
けっこういろんな疑問を出してくれたため,予想以上に時間がかかった.

12/5/05 Class 9

1845-1855 (復習); 1855-2010 (Chapter 7); 2010-2035 (Chapter 5 演習問題); 2035-45 (チョコレート).
受講生は 1825, 1840, 1840, 1840, 1855, 1925, 1925 に入室.研究室に移動して初めて欠席なし.
Text (Young 1994, Equity: In theory and practice) Chapter 7, Sections 5-8.

今回は数理的な内容はほとんどない.休憩を入れずに終わらせた.

講義内容について

その他

12/12/05 Class 10

1840-2020, 2030-2110 (Chapter 8). 受講生は 1825, 1905, 1905 に入室.欠席4名の新記録.
Text (Young 1994, Equity: In theory and practice) Chapter 8, Sections 1-5.

7 章の演習問題の得点 は,高い順に 3, 3点だった. (配点は問題 1 が1点,問題2から5は2点,計9点) 問題 3, 5のできが特に悪かった.

講義内容について

12/17/05 欠席者向け補講

1710-1900, 1905-1940. 学生の入室は 1700, 1700, 1725.

12/19/05 Class 11

1905-2055 (chapter 8), 2055-2120 (chapter 7 演習問題). 学生の入場は 1845, 1900, 1900, 1910, 1935. 欠席は2名.
Text (Young 1994, Equity: In theory and practice) Chapter 8, Sections 6-9.
かなり急いだ.Section 7, 8 は演習問題で扱っていないこともあり,軽く扱った.

講義内容について

その他

12/22/05 欠席者向け補講

1900-2050 (chapter 8); 2050-2120 (chapter 7 演習問題). 学生の入場は 1850, 1900.

どうも Sg さんの表情が冴えない.疲れているのか.ただ,セカンドプライスオークションの実験については,感想を述べてくれた.

Bidding to be divider は「分割者 (オファーを出す側) が必ずしも有利でないところがおもしろい」と F さん.

12/23/05 Class 12 第 1 グループ

1405-1420 (chapter 8 演習問題); 1420-1600 (船木); 1600-1645 (chapter 8 演習問題). 学生の入場は 1405, 1420.
船木由喜彦. エコノミックゲームセオリー: 協力ゲームの応用. SGCライブラリ11. サイエンス社, 2001. 第7章「男女のマッチングと家の割り当て: 貨幣のないケースのコア」7.1 から 7.4 節に重点.

12/26/05 Class 12 第 2 グループ

1855-1910 (chapter 8 演習問題); 1910-2040 (船木); 2040-2120 (雑談). 学生の入室は 1845, 1900.

自然な流れとして,授業後は合コンにかんする雑談などにつながる.授業内容自体はそんなに難しい話ではないためか,どういうふうな選好を言えばいいかという,戦略的操作の問題に出席者 Sg と T は関心がありそう.男性プロポーズの場合は,男性はそのまま選好を言えばいいのだが,選好を知られたくない場合はどうするかといった問題はあるだろう.つまり,「各人が選好を他人に知られることなく,きちんとアルゴリズムが実行されていることを確認する方法はあるか」といった問題は出て来るだろう.アルゴリズムの実行主体が信頼できない場合は重要な問題だ.それは暗号の技術でどうにかなるのかな.よく分からない.

Sg さんがミクロ経済学の授業でやっている比較優位の理論について聞いて来る.その話題をミクロの授業で扱うのはいいことだと思う.T さんは「貿易をした方が全体にとっていいという,よくできた理論と思う.それでいいのか疑問もあるが」と.簡単に言えば「どんな産業分野で劣った国でも,そのダメ度が低い分野に特化して生産してその一部を輸出し,かわりにダメ度が高い分野の製品を輸入するようにしたほうが,交易なしのばあいよりお互いにマシな状況になる」ということ.全体にとってだけでなく,個々の国にとっても貿易はいいことだ.ただ,景気の変動によって悪影響を受ける産業や良い影響を受ける産業があるので,比較優位を決める場合はそのリスクまで見るべきだし,そもそも生産可能性曲線は直線ではない.「特化する」と言うより「重点をシフト」すると言った方が厳密な最適解に近いかもしれない.

12/28/05 Class 12 第 3 グループ

1900-1935 (chapter 8 演習問題); 1935-2110 (船木); 2110-2140 (雑談).
開始設定時間は 1840 だったが,学生入場は 1900, 1900, 1935. 大方が理解しにくい部分がすぐ出て来るため,「時間厳守で願いたい」とわざわざメールしたのに.
今回は日本語だが,このグループに限らず「自分で読めば分かる」というわけではなかったようだ.数式のところなど理解できなかった模様.まあ,僕にとっては教えるべきところが残っていたということになる.

このまえスナックで「麗珠を世界デビューさせる」と店の子たちに言っていた O さんに,最近届いた Taylor のテキスト (かなり高度な入門書) を見せて「いちおうデビューはしてるけどね」と言った.G さんだったか Sw さんだったか忘れたけど「本に載るとうれしいですか?」と尋ねてきた.まあ,引用のされ方にもよる (今回引用されたのは論文の主要貢献ではなかった) けど,かなり気分はいい.なにか悪者にされて週刊誌に載ることにくらべれば,注目度は落ちるけど,ベターじゃないかと思う.

意味不明: むかし図書館で働いていた女性のイメージと,最近メールした,いま某学部で事務をやっている女性と,いま某学部で事務をやっているニコニコ女性と,GSM にいる40年前の令嬢を合成して作った存在がひとり.この授業の受講者と,GSMにいる令嬢と,むかしの彼女のイメジを合成して作った存在がひとり.「社長なんかのご令嬢とつき合えるかも」といった動機で GSM に移って来た教員もいるわけだが (冗談,冗談),そういうお嬢様をイメージしている.

年末はどうしますかと Sw さん.「普段と同じ」と答えたけど,少し違うな.論文のレフェリー (まとまった時間がとれないとなかなかできない) といった,溜まった仕事を片付けることになる.京都に帰京するという受講者も.そちら方面に行かなくてはならなくなるかもしれないボクは,クルマで連れてってやろうかと親切なことを考えたんだが,言わなかった.ちなみに,自分のばあい新年に帰郷する習慣はない.新年の帰郷は高校卒業以来2度だけだ.行っても仕事が進むわけじゃないし,だいいち飛行機代が一番高い時期ではないか.(いまは飛行機ではなく自動車を長時間運転して行ける距離になったが.)

ところで香川の代表的なお雑煮は餡入りもちと白みそだっけ.よく知らないが餡の入った餅を雑煮に使うのは珍しい (香川だけ?) というので,それを食べてみたいと思うのだが,やってる店がないのだ.受講生たちによると,実際,ないらしい.それでも,「二蝶」という料亭だったら出るのではという.雑煮だけ食べに料亭行くほどのカネはない.(魚を食べるためにカネを払うよりはましか.だいたい,魚って食べるものじゃないだろ! 魚を食う人種は野蛮だ! この世界から魚がなくなってくれたらどんなにいいか! いや,見るために存在するのは許すが.) それにしてもみんないいとこで食べてるんだなあ.自分なんか所持金が少なくて (そして仕事を中断するのが面倒で) 一日一食以内におさえたうえで,その一食はいいときでほかほか弁当か吉野家といった日が続くことが多いのに.たまにうちの側にできた横浜家系ラーメンなんかに行って,あの濃いスープを味わった日には,すごいぜいたくをした気分になるのである.

などと究極的にケチなことを考えていたら,「豪邸に住むことになった」という景気のいい話が妹から飛び込む.一年の四分の一くらいをハワイで過ごし,何の仕事をしているかよく分からん怪しい妹だ.裁判所の公売物件なんかをときどき「調査」しているのは知っているが.問題の豪邸は「犬小屋だけで30坪」「ヘリポート付き」とか言っていたが,じっさいは犬小屋でなく2階建ての離れがあって,その1階部分全部が冷暖房完備の犬舎になっているということだ.ヘリポートの方は前の所有者が少し離れた場所に持っていたというのはホントだが,そちらは入手しなかったようだ.豪邸は,公売にかけられたものを不動産などをやってる「我が会長」(愛人?) が落札したとか言ってるので,どうせ掃除婦でもやっておけと管理を任されたのだろうけど.

1/16/05 Class 13

1905-2125. 学生の入室は 1850, 1850, 1900, 1915. 欠席3名.
Text (Young 1994, Equity: In theory and practice) Chapter 9, Sections 1-5.

8 章の演習問題の得点 は,高い順に 9, 7 点だった. (配点は13 点.) 問題 4, 6 のできが悪かった. 船木 7 章の演習問題の得点は,高い順に 4 点だった.(配点は 5 点.)

講義内容について

その他

1/23/05 Class 14

1825-1840 (T さんにエッジワースボックスを解説), 1840-1950, 2005-2105. 学生の入室は 1820, 1825, 1830, 1830, 1850. 欠席2名.個人的インセンティブと社会的な圧力とを結合したある約束 (苦肉の策) をしたら,一部受講生はそのインセンティブに反応して早く来た.残念ながら20分ちがいで約束は成立しなかったが,その約束があっても有利になりそうにないひとがわざと遅れて来るということはなかった.彼らに感謝しよう.
Text (Young 1994, Equity: In theory and practice) Chapter 9, Sections 6-10.

9 章の演習問題の得点 は,高い順に 8, 3 点だった. (配点は 2+1+2+2+1+2=10 点.) 問題 3, 4 のできが悪かった.前の章と同一パタンの最大化問題 (線形計画法) が多いことに気づくだろう.パタンを押さえておけば応用が利くということ.

講義内容について

その他

1/30/05 Class 15

1835-1935, 1950-2110. 学生の入場は 1815, 1820, 1830, 1850, 1925. 欠席2名.
演習問題の解説.Chapter 8, 9 他.試験問題について.

2/6/05 期末試験

1855-1910 (ヒント), 1910 試験開始.講義室.1850までに5人入室.2110ころ3人提出,残りは2140,2200に提出.
2200-2235 (雑談).
2130にひとり入室したがこの日は受験せず.
時間は90分を想定,早いひとは40分くらいと予想していたが,意外と時間をかけていた.

2/7/05 期末試験 (前回欠席者向け)

2010-2220 受験.1950 学生入室.残りひとりは欠席.試験形式はほぼ同じく,開始前にヒントを渡した.

2月6日の試験問題と両日の試験結果は「期末試験と総合成績」に載せた.

3/18/06 麗珠会 Ver. 2

麗珠会 Ver. 2 と銘打った飲み会が前日急遽決まった.ボクとしては受講しなかったひともふくめ, (比較的) 若き乙女たちのご来場を期待したわけである.だが集まったのは呼びかけ人 O さんと Sg さんの受講生二人と教員の男性三人だけ.他の教員に頼まれたケース教材の締め切りに追われていた学生が (把握しているだけでも) 二人いたことも参加率の低さに現れた.まあ,「卒業旅行」も進行中のこの時期だから三人も集まれば十分か.

にぎやかな飲み屋のつ もりで行った Sea Dragon の雰囲気が少し上品なレストランに変わっていたの で,他のお客様の迷惑になるような下品な発言などは慎んだ.オリーブとカシューナッツのおつまみはいいかも.欠席したまじめな学生から数日後「セクハラの様子をブログにアップしておいてください!!」とバカなメール.真に受けてびっくりした非受講生はいなかったかな.


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三原麗珠

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